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ここには元々、新潮45で書いた「伝説のルポライター竹中労」のことを書いたノンフィクションが入る予定だったのですが、せっかくなので書きおろしを一つ入れようということになり、いろいろ考えた挙句、落語家の初代桂春團治の生涯を描いたノンフィクションを入れることになりました。 今後は芸能についてもルポしていきたいと考えていたこともあり、ぼくとしてはとてもやりがいのある取材となりました。問題だったのは、初代桂春團治本人の噺を実際に聞いた人や、会った人がすでにいない古い故人という点。これでは、多くの人から話を伺って構成することの多いぼくの従来のスタイルでは表現できないため、とても困難がつきまといました。 そのため多くの資料に頼ることになるのですが、短編なので、その中でもとっておきの面白いエピソードを散りばめたのはもちろん、大阪の天満天神繁盛亭や、桂ざこば師が主催している動楽亭にも通って、上方落語の雰囲気をつかむための取材も重ねました。落語の成立は上方落語にあるのですが、江戸落語ほど洗練されてはいないきらいがあります。しかし、そのぶん庶民的な雰囲気の良さは江戸落語よりも直に伝わってきますので、何となく江戸落語よりも気軽に聞くことができます。 また、ラストの一心寺周辺は幼いころから歩いていたところなので、そうした雰囲気も出せるだろうと思い、なんとかまとめることができましたが、やはり出来については満足していません。できればもう少し深く書いてみたいテーマでした。可能性があるなら、一冊にしてみたいテーマですね。今の時点では、上方落語の理解の一助になれば幸いです。 これで新刊『異形の日本人』の宣伝を兼ねた裏話は終わりますが、これからも短編はもちろん、面白く読める長編も書いていきたいと思いますので、また期待しておいてくださいね。 |
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