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zoom RSS 橋下氏についての週刊朝日連載

<<   作成日時 : 2012/10/18 00:00   >>

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ノンフィクション作家・佐野真一氏が、週刊朝日で橋下徹・大阪市長についての大型連載を始めました。

それについて橋下氏は「朝日新聞、系列のテレビ局の取材は一切、拒否する」と声明。テレビなどで騒がれています。ぼくは一昨日、知人から週刊朝日の連載を教えられて知りましたが、「またえげつない連載だな」と思っただけで、特に何も思いませんでした。しかし、橋下氏が過激に反応したこともあり、大阪では週刊朝日が売り切れ続出になっているそうです。

まず佐野氏の連載の趣旨は、「橋下氏の出自を徹底して暴くことで、そのDNAを解明する」云々といったものです。それに対して橋下氏のツイッターでの反論の概要は以下のようになっています。

@政策批判もしないで出自を暴くことは部落差別につながる
Aこの連載は血脈主義そのもので、ヒトラーなみだ

まあ、あとの細かい点は面倒なので橋下氏のツイッターを読んでいただくとして、こうした動きについてのぼくの考えを書き込んでおきますね。

まず佐野氏の連載は、えげつないことは確かですが、いまもっとも話題の政治家・橋下氏の記事としては許される範囲でしょう。心配される路地(同和)への偏見については、しっかりフォローすることも大事ですので、今後の佐野氏の書き方次第だと思います。しかし、こうして一般地区出身の作家が、路地について書くことは、とても重要な意味をもつ画期的なことです。

まず差別的にしろ、なんにしろ、ぼくは路地について書かれるのは全て良いことだと思っています。それがもし差別を助長させたとしても、やはり糾弾などで萎縮し、無意識化にもぐった差別意識をあぶりだすことにもなるからです。膿み出しみたいなものですね。それで表面に出たものを、批判していけば良いのです。大事なのは、影で噂されることではなく、表立って議論されることにあります。そうして初めて、同和問題というのは解決に向かいます。解放教育のときも、共産党からは「差別を助長する」と批判されましたが、だからといって隠してばかりは良くないということです。

それで橋下氏の反論です。彼の反論は相変わらず上手ですが、相当無理があります。

今回の連載を含めた橋下氏のルーツ記事についてですが、そもそもの原因は橋下氏のポピュリズムに徹した姿勢にあります。彼は大新聞、テレビ以外の取材は受け付けません。

記者会見に佐野氏がこないと批判していますが、これは彼独特のロジックで、そもそも記者クラブの会見に、作家であっても入ることは許されません。ぼくは某社の好意で入ることができましたが、その際も一切の質問は絶対に駄目ですからねと、念をおされました。橋下氏はそれを知っていながら、どうせ一般大衆はそんなことを知らないだろうと、上手なウソをついています。

それで別個での取材申請をしても、橋下氏は完全に無視してきます。それがヨイショ記事であっても、です。橋下氏は大メディア(新聞・テレビ)以外の取材は一切、無視なのです。

とくに部数の少ない週刊誌、さらに少ない月刊誌の取材は一切、拒絶しています。彼が相手にしたいのは100万人以上を対象にしたメディアであり、週刊誌の数十万、月刊誌の数万の読者なんぞ、「相手にするのは時間の無駄」と考えているのです。非常にツボを押さえた頭のよい政治家であることは確かですが、決してスマートではありませんね。

このような場合、雑誌側としては何ができるかといえば、本人が取材拒否しているのですから、必然的に橋下氏の周辺取材しかないわけです。しかも彼の中小メディアを見下したその態度には、雑誌編集者ならずとも、書き手も憤りを覚えずにはいられないでしょう。そのため、必然的にどうしても雑誌メディアでは、橋下氏に批判的な態度をとることになります。

ぼくが橋下氏に言いたいのは、「部落差別云々をいうなら、まずそのポピュリズムに徹した露骨なメディア差別をやめたらどうか」ということです。橋下氏が雑誌の取材に少しでも応じていたなら、佐野氏の連載にしても、記者クラブに顔がきく朝日新聞系の週刊誌なのですから、もう少し違った形になっていたと思います。傲慢な態度でメディア批判をするなら、自分もそれに乗っかっている記者クラブ制度を解体してみろよ!と、ぼくは訴えたいです。

橋下氏は「どうせするなら政策批判をしろ」と言いますが、そんなもの、誰が読むんですか?

週刊誌はそもそも、大衆の劣情を刺激してなりたっています。その週刊誌が政策論争なんかするわけないでしょう。橋下氏はそれもわかっていながら、できないとわかっていながら、こうした批判をするのです。一言でいえばずるい、橋下氏流に言うなら「ヒトラーなみの大ウソつき」なのです。ヒトラーの有名な言葉、「ウソは大きいほど大衆にはわからない」という、このウソとは、橋下氏のような巧妙なウソのことをいいます。

橋下氏がここで過激な態度に出たのは、国政をにらんでの批判おさえに他なりません。少しでも自分に対するネガティブなイメージは押さえ込みたいわけです。今回の件についても「朝日」だから、ここまで反応しただけです。あの「大朝日」だったからこそ、記者クラブ制度を逆に悪用して、大メディアから(つまり上から)雑誌メディアを封じ込めにかかっているだけなのです。ここで彼の論調にのって、「部落差別だ、血脈主義だ」云々と同調してはなりません。彼の狙いは他にあるからです。記者クラブは、このようにして悪用されるわけです。

橋下氏に言いたいのは、以下のことです。

筆者が取材にこい、というのなら、ほとんどの雑誌が掲載前に取材申請してるんだから、まずはそれを受けろよ。露骨なメディア差別はやめた方が良い。メディアに理解があるというなら、自分も上手に利用している記者クラブ制度を解体してから、メディア批判したらどうか。巧妙なウソを織り交ぜて、部落問題へすり替えるのはみっともない

ということでしょうか。

彼は演説、討論はテレビで鍛えていますから得意でしょうが、文章でのやりとりだと馬脚を現すので、とくに活字メディアは苦手なようです。とりあえず記者会見形式でもいいから、雑誌取材を受けていたら、ここまでの騒ぎにはならなかったよとアドヴァイスして、今回のブログを〆たいと思います。


追記
政治家・橋下氏についてのぼくの評価と、このブログでのぼくの論調とは必ずしも同じではありませんのでご注意ください。橋下氏は多面的な人間なので、とりあえず彼のメディアに対する姿勢について、今回批判しただけです。





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